【書評記事】“神”に祀りあげられた日本人 【神風特攻隊はなぜ存在したか?】を考える

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こんにちは!この記事は本ブログ初の書評記事となります。私じつは結構な読書家で週に3、4冊は読んでいます笑

 

 

そんな私の中で最近マイブームなのが、旧日本軍に関連の本です。日本は世界的にも一般的にも原爆を落とされた国という印象がありますよね。言うなれば、圧倒的に被害者であるという考えです。

 

たしかにそれは一面的には正しいことです。しかし、思い出していただきたいのが日本には加害者としての一面もある、ということです。

 

この事実を重く捉える人は現在あまり多くありません。そこで、参考になるのが今回ご紹介する書籍です。

 

『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』鴻上尚史

もしかしたら作者の鴻上さんの名前をみたことがあるかもしれません。鴻上さんは作家として本も執筆するかたわら演出家としても活動されています。

 

さらに映画やテレビ番組の司会も務めたというほどマルチタレントさです。本書はそんな作者が実際に特攻部隊に所属していた方からへのインタビューをまとめたものです。

 

要点

読んでいない方にわかりやすいように要点をまとめると以下の通りです。

特攻隊=敵艦隊に体当たりして名誉の死を得る

その中に、9回特攻して9回とも生還した人物がいた。

特攻は全く効果的ではない

精神論で推し進める幹部 vs 無駄死にしたくない兵士

特攻として死ぬ=神=非人間

     

 

 

超個人的論点

  1. 名誉の死って何 (利用され消滅した人間性
  2. 特攻隊の異常性
  3. 軍国主義の落とし穴

 

超個人的感想と考察

名誉の死って何 (利用され消滅した人間性

私が一番衝撃を受けたのは、特攻をした人とくに何隻も敵軍を沈めた人物は人間でなくなる点です。つまり、特攻して亡くなった方の死は名誉の死として遺族に伝えられるということです。

 

人によっては、新聞やラジオで大々的に軍神として扱われました。いかに国が戦争への肯定感情を人々に植え付けたかったのかが伝わってきます。

 

これは日本の天皇にも同じことが言えますよね。もともと王族が国を治めていたような西洋の王政と皇族制度は少し事情が異なります。明治以降における天皇の意味は国民を一つにまとめるシンボルです。

 

戦乱に向かう小国日本が大国に向かっていくには、国を挙げてシステムを構築していく必要がありました。ですが、庶民的な宗教が台頭していた日本は、新しいシンボルをつくる必要があったのです。

 

その結果何が起こったでしょうか。平成の終わり、つまり天皇の退位ですよね。シンボルというのは、極めて中立で神聖なものである必要があります。そこには人間性は必要ありません。

 

以前書いた「メトロポリス」のティマの存在定義みたいなものです。(以前の記事はこちら👇)

漫画の神様、手塚治虫先生が現代に残した最高傑作【メトロポリス】大考察 - Erima's cultural life

 

特攻隊の異常性

なんといっても、特攻隊が異常なのはその妥当性のなさです。特攻隊が乗る機体には迎撃装置が一切ありません。これは戦闘機にはあるまじきことです。なぜなら、飛行中の彼らは全くの無防備になってしまうのです。

 

また当時の特攻隊の乗っていた機体は九十九双発軽爆撃機(きゅうじゅうきゅうしきそうはつけいばくげきき)といい、爆弾を投下するボタンが機体の外側のツノの先についているのが特徴です。

 

そのため、このボタン付きのツノは死のツノと呼ばれました。これを当時の軍幹部は、試運転なしの状態で特攻隊に使わせたのです。

 

軍国主義の落とし穴

当時の日本がいかに異常だったかは、特攻隊の存在や731部隊の存在で十分に説明できるでしょう。

追記:731部隊についてはこちら👇

 

問題は

  • 極端な理想主義
  • 根拠を欠いた精神論
  • 反抗させない空気(自ら志願した演出)

これらは軍という特殊な空間が作り出したものですが、結構今にも続いていると思いませんか?

 

まとめ

私たちが平和だと認識している今の日本の歴史の根幹には、命を呈した人がいたこと。そして、その人たちは死んだ後さえも神として政府に利用されていたことは、忘れてはならないと私は思います。

 

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