輪るピングドラム大考察【超個人的生存戦略】パート2

こんにちは、erimaです。今回も前回に引き続き、輪るピングドラムの考察をしていきます!!

9話 氷の世界

陽毬の記憶

9話では、水族館で突然いなくなった陽毬のエピソードが陽毬目線で語られています。『かえるくん、東京を救う』という本を探して、中央図書館そらの孔分室に迷い込みます。

そこにいたのは怪しげな司書、渡瀬 眞悧(わたせ さねとし)でした。そこでなぜか彼は陽毬の小学生の記憶を取り出してみせるのです。

そこでわかったのは * トリプルHの2人は陽毬の同級生であること * もしかしたらトリプルHには陽毬がいたかもしれなかったこと です。

渡瀬によれば、陽毬は特別な存在であるらしい。この分室にあるのは本当になのでしょうか。

まただんだん引き出される記憶が罪を感じているものになっていっていることも興味深いです。あんなことになってしまった、とはどういうことなのでしょうか。

真実を見たいと思ったときに、来る場所。運命の花嫁に捧げる花かんむり。運命の至る場所。元の世界に戻って、渡瀬を必要とした時に必要になるもの。

でもこれは『だめ』 途端に『ピングフォース』と書かれたシールが剥がれ、『ピングループinc』に変わりました。

ポイントは本棚にあった大量のかえるくんシリーズ(東京を救う、の部分が異なる)がぱたぱたと音を立てて崩れていくシーンです。

これは可能性の消失、運命の分岐点、IFの世界が消えていくことを意味するのではないでしょうか。

またこの回では、子どもブロイラーという施設も登場します。ここで幼い少年と少女が『運命の果実を一緒に食べよう』『選んでくれてありがとう』というシーンがあります。雰囲気的には晶馬と陽毬のようですが、確かではありません。

陽毬はかつてこの施設に入れられていて、そこから助け出してくれた少年を運命の人だと言っています。不思議なのがその後のシーンです。陽毬は1話の一度死んだ自分を宙から眺めていました。

陽毬=地球外生命体(以下、長いので帽子様と呼ぶ) なのでしょうか。

10話 だって好きだから

夏芽と冠葉

冠葉に思い出せとせまる夏芽でしたが、どうやら2人には特別なつながりがあった様子でした。

ピジョンブラッド、アリアドネの赤い糸 夏芽も弟のためにプロジェクトMを遂行しようと知っていたのです。

11話 ようやく君は気がついたのさ

共通点

生きている人間は嘘をつくから絵を描くという夏芽。さらに愛は概念であり、ホルモンの影響に過ぎないといっています。

1995年の事故で亡くなった桃果。その日に生まれた苹果。そしてまた同じ日に生まれた高倉兄弟。

1995年3月20日は日本で地下鉄サリン事件が起こった日でもあります。一体その日と兄弟にどんな関係があるのでしょうか。

12話 輪る僕たちの輪

三匹の羊

『俺は運命って言葉が嫌いだ。生まれ、出会い、別れ、成功と失敗、人生の幸不幸。それらがあらかじめ運命によって決められているのなら、俺たちは何のために生まれて来るのだろう。

裕福な家庭に生まれる人、美しい母親から生まれる人、飢餓や戦争の真っ只中に生まれる人。それらが全て運命だとすれば、神様ってやつはとんでもなく理不尽で残酷だ。

あの時から俺たちには、未来なんてなく、ただ何者にもなれないってことだけがはっきりしていたのだから

あの時とは、おそらく彼らにとっての16年前のあの事件のことでしょう。しかし、そのせいでなぜ彼らが透明にならざるを得なかったのでしょうか。

実はあの事件を起こしたのは高倉兄弟の両親だったというのです。

また作中で使われるメリーさんの例えもおもしろいです。 おそらくあの例えが意味するのは

  • メリーさん=高倉家 父
  • 三匹の羊=高倉兄弟
  • りんご=理想・もしくは愛(?)
  • 空からの声=闇うさぎ
  • 女神=渡瀬

でしょう。

また作品のはじめに陽毬に再び命が戻ったのは帽子様と冠葉が取引したためだということも分かりました。しかし、その取引は一度きりしか有効でないため、渡瀬の謎の薬に頼ることになったのです。

ところで冠葉の心臓がサソリの魂ってどんな意味があるのでしょうか?

13話 僕と君の罪と罰

桃果という少女

ていうかそもそも生存戦略は誰にとっての戦略なのでしょうか… これは私の考えなのですが、何者にもなれないとは、陽毬の代わりになれないということなのでしょうか。

市場において何者かであることは、差異であり、価値です。逆に考えれば自分は自分であるということを言いたいのかもしれません。

渡瀬の独白によれば、桃果は彼と同じ人間でした。彼曰く、運命が見え世界のSOSが聞こえる人間であった。

しかし、彼と彼女の方向性は全く違った。桃果が世界の救済を望んだのに対し、彼は人間の運命の存在の行方を知りたがったのです。

ニュースキャスターの台詞はとても印象的でした。 『利便性への傾倒は許されない。人の心を反映させることが必要不可欠なのだ。あの様な悲劇を繰り返してはならない』

しかし一方で、夏芽はこう言っています。 『明るい場所と暗い場所は共存しなくてはならない。全てを明るい光で照らしてしまえば、必ずその反動で暗い場所が明るい場所を攻撃するのよ』

14話 嘘つき姫

時籠ゆりという女

こちらの回はなんというか、ウテナの伝説の旅館シーンを彷彿とさせる構成でした笑笑 ここで実は、多蕗と時籠は桃果を通じてつながった偽装結婚だったことが発覚、さらに苹果を桃果の代わりにしようとまでします。

時籠は『すべてを諦めて自分の世界で完結しよう』とする点においてウテナに出てくるあきおに激似しています。苹果を通じてみる彼女の世界には、桃果しかいないのです。

たぶんこれはあまり関係ないですが、赤いスポーツカーに乗っているところも共通していますね笑笑

15話 世界を救う者

時籠の過去

ここでは時籠の過去が明かされていました。美しいものしか愛さない父親からの度重なる虐待は、彼女に『美しくなければ生きている価値がない』とまで錯覚させる様になっていきます。

おそらくそのせいでレズビアン的な性癖になったのでしょう。そんなときに出会ったのが 桃果でした。

桃果はそのままの時籠を綺麗だといい、『みにくいアヒルの子はいない』といいました。 また彼女には『運命の乗り換え』ができるという秘密がありました。

これを行うと自分の体を代償に、運命を変えられるというのです。全く信じようとしない 時籠を信じさせ救うため、桃果は乗り換えを行い、時籠の父を消すことに成功しました。

ボロボロになってまで自分を助けてくれた桃果に時籠は惹かれていきます。しかし、彼女はある日突然いなくなってしまったのです。ですが、時籠は彼女がまだ生きていて違う世界にいるのだと信じて疑いませんでした。

そんな彼女を呼び戻すため、桃果の日記を探していたのです。

父親から子への愛はときにエゴイズムになりえます。さらに不幸なことは、それを享受するこどもはそれをだと勘違いしてしまうということでしょう。

こうなると家族は愛あるつながりとして存在出来ません。これはただの集団エゴイズムであり、共依存なのです。

16話 死なない男

夏芽回

この回では、夏芽の祖父と夏芽自身の確執が描かれています。世の中の人間を敗者と勝者で考える様な破綻した人間性を持っている祖父のせいで、夏芽の家族はばらばらになってしまったというのです。

またそれにつけ込んだのが、あの謎の組織KIGA会だったのでしょう。行き過ぎた経済の論理は人間を壊します。

その結果、世界を壊すといった名目で社会から“敗者“とされた人々があのような事件をおこしてしまったともいえるでしょう。

この考えを真剣に考えた人々がいます。その一人として私はハンナアレントを紹介します。

(彼女は映画にもなっているのでぜひチェックしてみてほしいのです) 彼女は、悪の汎用性を提唱した人物として有名です。どういうことかといいますと、悪事をなす人物のパーソナリティは必ずしも悪党であるわけではないというものです。

まとめ

だんだん運命の至る場所や桃果の秘密が明かされてきましたね。 ですが、まだまだわからないことも多いのでパート3にて考察したいとおもいます!

前回の記事はこちら☟

erimadeculture.hatenablog.com