【書評記事】菅野直とかいう超人。。。空に生きた漢

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こんにちは、Erimaです。

今回は前から読みたかった本の書評記事です。

テーマとしては特攻隊に近いかもしれないですね。大日本帝国海軍菅野直という英雄がいたことはあんまり知られていません。

 

今日はその菅野直に関する本です。

『最後の撃墜王紫電改戦闘機隊長 菅野直の生涯』碇義朗  

きっかけは以前に書いた書評記事で特攻隊のことを少し知ったことでした。

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それと菅野直はそういう界隈では割と人気のようで、アニメのキャラにもなってます。(ドリフターズ cv鈴木達央)

 

 

菅野デストロイヤー

菅野を総称するあだ名の一つがこの、『菅野デストロイヤー』です。

 

ほかにも「ブルドック」「イエローファイター」と呼ばれました。カタカナなのは敵国である米兵の間でも有名だったからだと言われます。

 

大学に進学する道ではなく、海軍兵学校にすすんだ菅野とは一体どのような人物だったのでしょうか。

 

(幼少期)やんちゃながらも友と啄木を愛する少年

菅野には4人の兄弟がおり、仲の良い兄弟でした。厳格な母と警察長の父もと育ったため当時にしては周りより少し裕福だったと言えるでしょう。

 

しかしながら、兄の巌が大学に進学すると決めたことを受け、直は経済的理由から海軍兵学校に進むことを決意します。

 

幼少期の直は勉強のできる兄や学のある母の影響で、賢くも反抗的なこどもでありました。一方で厳しい母に代わり甘えられる相手として、姉のかほるに中学一年まで添い寝してもらっていたというような面もあります。

 

今でいうシスコンですね。同時に自分の兄がいじめられた際には、相手が誰であっても立ち向かっていくようなところもありましたから、ブラコンの気もあると言えるかもしれません。

 

喧嘩に強く明るい直少年でありましたが、意外にも文学少年のような一面もありました。そのエピソードとして、中学進学後には石川啄木に傾倒し、友人らと激しく議論を交わすといった少年時代を過ごしました。

 

当時の菅野直の言葉

go slowly to the entertainments of the friends and quickly
to their misfortune
菅野直

 

人間性とは悲しみを解する心である

人間愛

 

人間は醜い闘争の動物であり、偽善の生物であるから
幸福などという甘ったるい言葉があってたまるか

菅野直

 

人間の帰るところは自然の外にはならない
いかに文明が高度化されようとも又いかに世の中が都市化しようとも自然のないところには人間の存在が認められないであろう。

出典;『最後の撃墜王紫電改戦闘機隊長 菅野直の生涯』碇義朗  
 

パイロットとしての直 

パイロットとしての直は、破天荒ながらも優秀な人物でありました。学生時代には、禁止されていた高度まで飛んだり、着陸禁止区域に着陸したりなどそのはちゃめちゃエピソードには事欠きません。

 

そのためしょっちゅう飛行機を壊していたことから、「菅野デストロイヤー」という異名がついたとか笑笑

 

菅野の攻撃スタイルはまさに彼らしく、非常にテクニカルなものでした。

それは

  • 敵機にぶつかるほどの急接近からの撃墜
  • 敵機に急降下してから相手の羽と胴体をすり抜けつつ銃撃
  • 多い時には一度に2機の敵機を撃墜

といったものでした。

 

さらにのちの新選組設立後はさらに凄まじく、敵の弾幕をかいくぐりながら700km/hの速度で20メートルの至近距離まで突っ込んで撃墜するという離れ業をやってのけました。

 

米軍の記録によれば、操縦していた菅野の顔やマフラーまで見えたとか。

まじで人間じゃない…

 

菅野直の魅力

私ははじめ撃墜王とまで呼ばれた菅野直という男は、さぞ苛烈な性格をしているのだろうと勝手にイメージしていました。

 

しかし実際の彼は啄木を自らを重ねるような朴訥とした面もあり、誰よりも戦闘による無駄死にを嫌っていた人物でした。

 

菅野は特攻が実行される段階になっても、自分の隊の部下を絶対に特攻隊員にさせませんでした。特攻は戦闘機と隊員の生命を無駄に危機に晒すことであると考えていたのです。

 

これに関しては私も全く同じ考えです。

特攻は神風などとよばれ、時に美化されて語られます。特攻の死は昇級であり、神格化ですらある風潮が当時からありました。

 

そうではなく、生きて帰る、確実に撃墜するという彼なりの理念があったからこそ彼は今も人々の記憶に残っているのだと思います。

 

ですが、それ以上に私たちを引きつけてならないのは彼の神がかった操縦テクニックでしょう。

 

当時、彼は自身の隊が特攻に呼ばれそうになったときは代わりに自分が行くと言い張ったそうです。しかしそれは決して通ることはありませんでした。

 

なぜなら彼はパイロットの中でも有数の凄腕であり、上層部にとって簡単に失うわけにはいかない人材だったためです。

 

もうすでにこのことから特攻の無意味さ無価値さが際立っている気がしますが、戦争というのはそういうことなのです。

 

自然に等級がきまり、命に優劣がつく世界。それが軍国です。

文明国でこのようなことがおきることは今後一切許してはならないのです。

 

終わりに

今回は菅野直という人物を通して、大日本帝国軍の姿を知ることができました。

ですが、この本を読むことでかえって知りたいこと、読みたい本が増えてしまったことはいがめません笑笑

 

菅野直が乗ったという紫電改や特攻隊員が住まわされたという寮に関していくつか書籍を読んでみようと思います。機会があれば記事も書きますのでお楽しみに。

 

ご精読ありがとうございました。

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